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海が見える縁側の家 土壁解体

土壁

古民家再生 土壁解体

土壁を解体しているところです。

「解体してみると土壁の強さが分かるね。」と棟梁の独り言。

一見、傷んでいて、上塗りの漆喰が浮いたり、剥がれかかっている土壁。足で蹴っ飛ばせばボロボロ簡単に崩れそうなのに、そう易々とはいきません。土壁の骨組みになる木舞(こまい)に土がしっかりとくっついて、なかなか剥がれません。

現場の廃材を見ると、その理由の一つが分かります。土壁の土には短く切った藁(わら)を入れるのですが、この藁が土の繋ぎの役目を果たし、また木舞に絡んで、簡単には落ちないのです。

古民家再生 土壁解体 藁

木舞に最初に塗っている荒壁の廃材。

土の中に藁がはいっています。

古民家再生 土壁解体 すさ

荒壁の上に塗る中塗り材の中に入っている苆(すさ)。荒壁の藁より細い藁。藁を加工して繊維状にしたものです。


崩れにくく頑丈な土壁。解体していると、なるほどと思うことが沢山あります。

木舞(こまい)

古民家再生 土壁解体 木舞

土を撤去してみると、しっかりと造られた木舞が現れました。

木舞

木舞は縄で固定します。

木舞

縄は結ばないで、巻くだけす。

巻くことで、地震の時は緩やかに動いて、揺れを吸収します

木舞

土壁が地震に強いひとつの所以です。


古民家再生 土壁解体 木舞

木舞を移動して解体。

古民家再生 土壁解体 木舞

想像以上に頑丈です。

古民家再生 土壁解体 木舞

古民家再生 土壁解体 木舞
古民家再生 土壁解体 木舞

竹を折ってみると竹の状態が分かります。この竹はまだ繊維が生き生きしています。


古民家再生 土壁解体 木舞

この家の木舞は女竹(めたけ)で掻かれていました。

女竹は細い竹で、木舞を掻く(かく)には調度良く、また腐れにくく、かつては木舞と言ったらこの女竹を使いました。

 

日本中どこにでも生えている竹ですが、土壁が造られることが激減した昨今、材料として殆ど流通しなくなってしまいました。代わりにもう少し太い真竹を割り竹にして使ったり、外国産の竹を使ったり‥

 

その一方では、使われなくなってしまった女竹が増えすぎて、他の木が育たず、山の生態系を変えてしまうという弊害も出てきています。

 

使ってあげれば、共存共栄、持続可能な女竹。残念でなりません。

 

 

古民家再生 土壁解体 木舞

丸のまま使うか、二つ割りにして使います。

 

女竹

家の裏に生えている女竹。

様々なものに利用されてきた女竹。この家の生垣も女竹です。

古民家再生 土壁解体 木舞
古民家再生 土壁解体 木舞

左が木舞に使われていた女竹

右が裏に生えていた女竹

古民家再生 土壁解体 木舞

廃材

古民家再生 土壁解体 木舞 
古民家再生 土壁解体

土壁の廃材は竹と縄と土。環境に優しい自然素材です。